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「どういう事ですか、工藤さん!」
細く、華奢な手が乱暴にダンッ、と力任せに円卓を叩くが、硬質な空気は変わらない。
「そこにある通りだよ。神君」
工藤と呼ばれた男が素っ気なく、一枝の手元に置かれた紙切れを指差す。
一枝は怒りに満ちた表情で身を乗り出す。
「何を考えているんです? 彼等はまだスクールに通ってわずか二ヶ月の生徒ですよ?」
「だが成績は優秀ではないかね? 栗山君は生徒内で最速を誇り、原君も『グリンガム』を扱える希有な人材。白名君も接近戦とスタミナならば、今期の生徒のトップクラス。何より、あの八神勇人の息子」
頭の禿げ上がった男性が、さも心外、と言わんばかりに問う。
「……ですが、組織的な戦闘は」
「今日、君を相手に、彼等はほぼ互角の戦闘をしたと言うではないか。充分、辞令はこなせると思うが。なに、戦闘に参加しろという訳ではない」
「それは! 私は『R2』を三つしか使っていませんでしたし」
「比留間氏の言われる通りだ」
一枝の説明を両断するかのような追随に、皆が首肯する。一枝は机の辞令書を見下ろし、悔しげに歯を食い縛る。
場には、五人しかいない。委員会への報告や視察などのために、七人の幹部の内二人と神孝弘がここ二週間出払っているのだ。
「君も知っているだろう? 日本では『インヴィテイション』の絶対数が不足しているのは。遺伝子の改変が倫理的な禁句でもあった事、そういった世間の風潮のためにスクールの開校が他の先進国に比べて五年以上遅れた事、さらには、危険な事は総じて避けたがる国民性」
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