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銃声が響く。それに伴い、何かの金属音が聞こえてくる。
射撃場には勇樹がいた。片手で銃を構え、延々と宙を跳ぶ缶に向かって銃弾を撃ち続けている。
カチン、カチン。弾切れと共に缶が『カランカラン』と空虚な音をたてて床に転がった。肩で息を整えながら、勇樹は缶の元まで歩み寄り、その弾痕を観察。
「……そろそろ、実戦に移っても良いかもな」
疲労の濃い顔に笑みを浮かべた。
「とは言っても……今日は、ちと無理かな? もう消灯時間だし」
袖で汗を拭きつつ、片付けを始める。射撃場の電灯を消し、『ハウル・オブ・ヒート』を片手に勇樹は射撃室を出る。
(それにしても……完全敗北だぜ!)
このままでは終われない。いつかこの借りは返さなければ。
(……ただ、皆が自信喪失していなけりゃいいんだが)
物思いに耽っていると、遠目から誠二がふらつく足取りで個人用のシュミレーションルームから出てきたのを勇樹は見つけた。向こうも勇樹に気付いたようだ。気まずそうにプイと眼を背けると、再び誠二が固まる。何事かと勇樹も誠二が見た方角を見ると、香と朱実が集団戦用のシュミレーションルームの出口にいたのだ。勇樹は苦笑しながら誠二のもとに向かう。朱実も顔に汗を浮かべ、こちらに来る。
(……皆考える事は同じ、か)
「何をしているんだ、お前達は?」
「そういう誠二こそ何してんのよ?」
朱実の返答に誠二は詰まる。
「しょ……食後の運動だ!」
息はやや乱れ、足の運び方からして相当疲れている事が見て取れる。食後にする運動の類ではない。勇樹と香は思わず顔を見合わせ、笑ってしまう。
「何笑っている!」
「笑いたくなるわよそりゃぁ……もっとましな答えはないの?」
朱実が呆れたように口を開けている。
ひっそりと電灯がつけられた一角にだけ、小さな、だが楽しそうな笑い声が響く。これなら、大丈夫だ。
確かに、自分達は一枝に負けた。
勝てない理由は、色々あるのかもしれない。
だが、皆は立ち上がり、助け合い、次の一歩を踏み出そうとしているのだから。
勇樹は久しぶりに心の底から笑った気がした。
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