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そしてもう一つ。誠二がカリカリするタイミングが、皆にわかるようになってきた事。おかげで誠二と交代し、勇樹か香、あるいは二人がかりで朱実の背後を守るというパターンも出来上がってきた。
戦術のバリエーションが広がり、レベルも上がっている。
この三日は、良い事尽くめ。
だが、
「八神さん? あのぉ……」
香が声をかけた事で、何かから引き戻されたように勇樹は顔を上げた。
「あ、ああ、そうだな」
ぎこちなく返答する勇樹を見て戸惑う香。しかし、朱実が香の手を取って喜び合ったので、その戸惑いはすぐに消えてしまった。誠二は照れているのか、他の者に背を向け続けたまま。
ただ、勇樹だけが何かを考え込んでいるかのように、天井を見つめている。その事に気付いているのは、場に一人もいない。
そしてもう一つ。
一枝が、喜んでいないという、おかしな事実に気付いている者もいなかった。
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