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なのに、何故父は闘ったのか?
皆がこの道を選んだ理由を、勇樹は知る事が出来た。
父には、香のように親しい誰かが共鳴体に殺された経験は無い。
朱実のように、誰かの手本となりたかった訳でもあるまい。
誠二のようにお金が必要、というのは無いだろう。第一、父は『インヴィテイション』についてから借金を七億もしたのだ。一千万も借金をすれば、自分は『インヴィテイション』で金を稼ぐ事は出来ない、と馬鹿でもわかるはずだ。
だから、自分のように借金を返す、というのも当てはまらない。
何故、父は『インヴィテイション』になったのだろう?
ギイ、と金属製の扉が開く音が聞こえた。それにつられて勇樹は後ろを向いた。
「一枝さん?」
夜にくっきり浮かぶ白髪は、このスクール内で一人しかいない。右手に封筒を持つ神一枝は勇樹とは反対方向へと向かっている。建物の影、位置的に彼女の死角に立っていたからか、どうも勇樹の存在に気付いていないようだ。
盗み聞きするつもりは無くても、屋上に一つだけある建物の影に身体を滑らせ、自然と耳を澄ましてしまう。
彼女はその封筒を破り、中の書類を一目見て、
「……やっぱり、駄目か」
肩を落とし、ぽつり、呟く。
「こうなったら、私が辞めるしかないよね? まさか勇樹君達をを巻き込む訳にはいかないし……でも、どうすれば」
「……どういう事ですか?」
声に、一枝は鋭く背後に視線を向ける。
「誰?!」
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