|
|
しかし、
「でも一枝さんはともかく、俺達は訓練生ですよ? 実習期間はまだ半年以上先の話ですし……」
「そう。本来なら、こんな話が回ってくる事はあり得ないんだよ、本来なら」
言葉に、どこか冷たいものが含まれている。
「本来なら?」
それに気付いていないのか、勇樹は繰り返す。
「世の中、色々あってね。簡単に言うと、私のせい」
どこか投げやりな口調に、勇樹はそれ以上踏み込む事が出来ない。
(……上に睨まれている、のか?)
……あり得る話だ。一枝の強さは自分達が良く知っている。この年で教官になれるのだから、『インヴィテイション』の中でも、その能力は突出しているだろう。才能を妬まれているのか、あるいは将来、上の人間が自分のポストを守るためにと、今のうちから一枝を排除しようとしてるのか。
「それでまあ、私をどうにかしたい人達があれこれ考えてくれてね」
「それが、どうして俺達の出動に繋がるんです?」
まだ理解出来ない勇樹は難しい顔で尋ねる。
「簡単に言うと、君達を出動させて、ミスがあったら『それは教官の統率力が足りないせいだ』とか難癖つけたい訳よ」
「……んな、メチャクチャな」
「メチャクチャって言うなら、もう通しているじゃない」
その証拠は、今、勇樹が持っている紙に印字されているのだから、たまったものではない。しかめっ面のまま勇樹は問う。
「でも俺達は訓練生なんですから、ミスっても少しは温情をかけてくれるでしょう? 第一、一枝さんの責任になるはずが」
「なる、ならないじゃなくて、したいんだよ、彼等は。じゃなきゃ君達まで巻き込む訳がない」
|
|